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【視察2日目】モンテッソーリ幼稚園☆

視察二日目はモンテッソーリ幼稚園。8時半頃に到着。まずは外観を説明して、幼稚園の中に入ったところ、なんと、今日は幼稚園の説明会の日なので、いつも対応してくださる園長先生がご不在とのこと。



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そして、「今日は園で作成した『視察ルール』に従ってご見学ください。イスに座って、質問はメモして、あとで質疑応答の時間を作りますので、そのときにご質問ください。写真も視察終了後に撮ってください」などと言われ、勝手知ったる幼稚園なので、いつもの通り、自由に視察可能だと思っていた私は軽いめまいを覚えてしまいました。




なぜ、こんなルールをいきなりつきつけられたかというと、最近、この幼稚園は注目を集めているようで、学校の先生やセラピストなど、見学者が大変多く、実習生も頻繁に来るので、新しい大人が保育を妨げているという問題点を解決するためだとか。しかし、このルールは以前からあったものなのでで、活用がなされていなかったことが現状だそうです。




来週は学校の副校長先生が視察に来られるということで、先生の緊張感が伝わってきました。はたして、今日の視察はどうなるのだろうか、、、、。そんな幕開けでした。




手渡された視察ルールの内容はこんな感じです。




「私たちの幼稚園は、子供たちが独自に自主性を持ち、自分のやり方で可能性を見つけるための空間です。あなたはその空間を共有する見学者です。子供たちが、遊びから、集団生活の中から、作業から、人生のプロセスを学ぶ姿を邪魔しないように観察してください。具体的には、頻繁に移動したり、子供たちに話しかけたり、教室の中にある物を触ったりしないでください。一ヶ所に滞在できる時間は30分〜1時間です。また、午前中は、先生に話しかけたりしないでください」




朝、手渡された長い文章でしたので、はっきり読む時間がなかったのですが、今少し翻訳してみて驚いています。例えば、私は子供が少なくて静かな時間のときに、先生に話しかけて少し質問したりしていたからです。




そして、お客様が、11時〜11時45分まで、キッチンで子供たちのお昼ご飯を食べている様子を観察されていたときに、先生から、「今静かなので、新しい「知覚コーナー」に備わっている物を手に取って、写真を撮ってもいいですよ」と言われ、静かに遊んでしまいました。でも、先生が許可されたことなので、大丈夫だったはずです。




知覚コーナーにあったものはこんな感じです。




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豆の種類や数が異なり、違う音が鳴るケースがペアでいくつかあります。聴覚を刺激する道具です。




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素材の違う板がペアでいくつもあります。触覚を刺激する道具です。




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ビー玉や石もありました。



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嗅覚や視覚を刺激する素材もありました。



あと、一番気に入ったマトリューシュカ♫



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そして、様々な大きさの箱。



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今日は「森の日」だったので、1つのグループは午前中は森にいたので、静かな一日だったということもあり、最初、視察ルールの説明を受けたときは、今日の視察はどうなるのだろうかと思ったのですが、途中からまた以前のような形になり、地下室や2階のお部屋も私は自由にお客様を誘導して説明することができました。




何度も足を運んで、良好な関係を築いていてよかったと思いました!






キッチンでは、聴覚障害のあるフランス人の男の子が、先生と1対1で、パンを作っています。レシピは子供たちにわかりやすいものになっています。




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私たちがお昼ご飯を食べた後、12時半頃に、先生との質疑応答の時間があったのですが、その際に、このフランス人の男の子は昨年の9月に入園して、ドイツに来たばかりなので、今ドイツ語を学んでいるという説明を受けました。そして、彼の担任の先生が今週の金曜日に辞めてしまうので、こんな個人レッスンのような時間は、先生との関係を築くために、とっても大切とのことでした。





1グループに対して、先生が4人存在するからこそ、そんな時間が取れるとのこと。





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私の好きな季節のテーブルです。冬を象徴する「冬の王」が飾られています。来週の月曜日に行われる子供会議にて、春を象徴する「春の女」に変わるそうです。




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季節のテーブルがあるところに、季節の名前と月の名前と3月の絵が飾られていました(3月は種まきを象徴する絵になっています)。




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これは先生の役割当番表。3週間ごとに変わるそうです。地下室、園庭、キッチン、グループルームにカテゴライズされています。




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子供の名札が置かれています。これは、「まだ終了していないので、片付けないでね」という意味になります。




8時に登園してから、10時までが朝ご飯の時間です。キッチンにいない子供は自由遊びをしています。男の子達が紙飛行機で遊んでいました。




先生の話によると、そのうちの一人の男の子が紙飛行機の本を持ってきたので、紙飛行機を作ることになりました。最初は子供たちだけで本を見て、紙を折っていたのですが難しかったみたいで、子供が先生にヘルプを頼んで、先生が作り方を教えることになったそうです。しかし、先生にも難しい部分があったようで、先生いわく、「大人だけどわからないこともある」という部分を見せることも大切なんだとか。




そして、興味深かったのは、本来なら、教室の中で紙飛行機を飛ばすのはNGなのだけど、折って試しで飛ばすことは許したそうです。彼らはちゃんと飛ばすのは園庭でやりました。そして、その試しに飛ばすことを例外的に許して、それを例外だと理解できる子供たちもいれば、例外を完全に許されたものと判断してしまう子供もいるので、例外を示すのは、相手次第なのだそうです。




つまり、それだけ、一人ひとりの子供を観察していなければ、わからないことですよね、、、。




そして、園庭にいた先生に、「今日はなぜ非常用の滑り台で遊ぶことができたのですか?」と尋ねたところ、2階のグループの園児たちが森の日で午前中いないため、教室が自由に使えるということもあり、子供たちが先生に非常用滑り台で遊んでいいかどうか尋ねてきたそうです。みんな嬉しそうに滑り台を滑っていました!





園児数は1グループあたり20名。そのうち、6名が障害を持つ子供たちです。フルタイムの先生が3名。パートタイムと実習生が2名。一日計算で、1グループあたり4名の先生がいるという計算になります。




先生が、子供たちに「植物が乾燥しているのでお水をあげて欲しいのだけど、、、」と声かけした場面があったので、子供が言うまで待つこともできたのでは?と質問したところ、「お水をあげる仕事」は子供会議のときにテーマとして上がったそうで、先生はそのことも踏まえて、子供に尋ねたそうです。





そして、重要なことは、「植物が乾燥しているのでお水をあげてくる?誰がやりたいですか?」と声かけすることだとか。(でも、私の記憶では、子供の名前を呼んで、お水あげを頼んでいたような気がします、、、)




子供はやりたいことがあってもすべてを言うことができません。だから、大人が「今こんなことをやりたいのではないか?」と子供の気持ちを想像して汲み取って、可能性として尋ねることが大事なんだそうです。




前回の保護者会にて、「自由と境界線」というテーマで話し合いの場があり、「自由とは何か?」、「どうやって線引きすればいいのか?」ということが話題になり、みんなでかなりディスカッションをされたそうです。




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この境界線。実は私は娘が2歳のときに、預けていた保育園の先生から言われたことで、開眼したことがあります。



娘が一歳のときに復職していた私です。娘がビニサンのような保育園にそぐわない靴を履きたいと言い出して、忙しい朝、押し問答をしていたのですが、根負けしてそれを履かせて保育園に連れて行ってしまったときのことです。




夕方、娘を迎えに行ったときに、先生から、「お母さん、子供は自分で境界線を作ることができません。母親であるあなたが、子供に境界線を作ってあげないとだめなのですよ。そして、線引きをした後は、決して軸がぶれてはいけません。境界線をどこにするか。そして、境界線を作ったら、その境界線を絶対に崩さない。そういう覚悟が必要なんですよ」と言われたことを、昨日のことのように思い出しました。




紙飛行機のルールの例外の話で、幼稚園全体のルールで絶対に例外を作ってはいけないルールがあります。例えば、砂を持ち運ばない、車が通る場所には行かないなど。




でも、例えば、木登りなど、その子ができることを先生の個人的な判断で決定するようなことには、ブレが生じることがあるそうです。「例えば、他の先生は登っても良いと言った子供に対して、私は怖いのでそれ以上高く登らないでねと言ったことがあります」と、先生がおっしゃったとき、「先生は機械ではなくて、先生も人間なのだ」ということを子供に示すことも大事だという見解を示されたのがとても印象的でした。




しかし、そこには、子供との関係がまずは築かれていて、そして、先生の個人的見解や個人的判断で子供と接するからこそ、うまくいくことなんだそうです。




子供との関係を築く上で大切なことは、同じ目線で対話すること。




いつも説明してくださるセラピストさんからも、セラピールームを見せて頂いて、お話を伺ったときにも、子供との関係を築き、そしてセラピーをするからこそ、うまくいくとおっしゃっていたので、「関係性」とは、本当に大切なテーマなのだなあと思いました。




セラピストさんはある子供のお話をしてくださいました。実の親に育ててもらっていない4歳半の園児が心の病気になっていて、その子供が、一本の木の枝をノコギリを使って切ることに3回のセッションで成功したそうです。




心や身体に障害を持つ子供たちは、自分のペースを持っています。そして、そのペースはとてもゆっくりしたものです。




保育ルームではなかなか1対1の関係は築けません。セラピールームではセラピストさんと子供の1対1の関係を築く事ができるのです。その環境は閉ざされた空間で、自分のペースでできることが保証されていることが絶対条件になります。




あと衝撃を受けたこととしては、大きなセラピールームと箱庭療法をするお部屋のドアをどちらも解放して、子供にどのお部屋に行きたいのか選ばすのだとか。




理由は、子供が今抱えている問題は、その子でしかわからないことだからだそうです。セラピストさんは、関係性を保ちながら、子どもの動きを観察して、言葉をかけて、寄り添って、セラピーを施すそうです。




「モンテッソーリだから見守り保育」という概念を私は持っていたのですが、今日の見学で、そうではないことがわかりました。




先生がルールを作り(整備された環境を作り)、子供に寄り添いながら(同じ目線で子供との関係性を築き)、子供に選べる可能性を伝え(整備された環境の中でできることを伝え)、子供がその可能性を自分で選ぶこと(整備された環境を使うこと)。




見守って、何も手出しをしないというのではなくて、寄り添って(関係性を築いて)、可能性を与える保育がモンテッソーリ教育なんだと、改めて理解できました。
by midorimartin | 2014-03-19 03:37 | モンテッソーリ教育