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ドイツの本「Wie Kinder heute wachsen Natur als Entwicklungsraum」

1月13日、ドイツの本、6冊目を完読しました!!




タイトルは、「Wie Kinder heute wachsen」。副題は、「 Natur als Entwicklungsraum」。





共同著者で、小児科医のHerbert Renz-Polster氏と、脳研究者のGerald Hüther氏。





「今日の子供たちはどのように育っているのか」という教育本であり、「自然は成長の場」が
サブタイトルになっていて、私はこのサブタイトルに惹かれて、この本を購入しました。





自然の写真や自然とたわむれる子供たちの写真もふんだんに使われているのも魅力です。




ドイツの本「Wie Kinder heute wachsen Natur als Entwicklungsraum」_f0037258_742207.jpg





コンテンツは以下のとおり。




Natur - und dann? 自然、それで?


1) Entwicklung, von oben betrachtet - Verbundenheit 上から見た成長。一体感。


2) Der Schatz dort draussen - Hingabe 外に存在する宝物。没頭。


3) Natur und Gesundheit - Langsamkeit 自然と健康。ゆっくりと。


4) Warum schlagen wir das Angebot aus? - Mitgefühl なぜ自然を拒否するのか? 共感。


5) Das grosse drinnen. von Computern und Kinderspielen - Geduld 大きな部屋。コンピュータから子供のゲームまで。忍耐。


6) Ist die Natur denn gefährlich? - Vertrauen 自然は本当に危険なのか? 信頼。


7) Wege in die Natur - Achtsamkeit 自然への道。気づき。


8) Naturerfahrungen in einer bedrohten Welt - Beharrlichkeit 脅威の世界における自然体験。持続。



以下は、それぞれの章で、私が気に入った文章です。



第一章

子供たちが、家族と安心感が持てる関係を築き、子供たち同士で同じ目線を持ち、遊びながら学べるとき、彼らは成長という航海の中で、次の2つの大切な帆を立てます。

一つめの帆は、好奇心。

二つめの帆は、自分でオーガナイズ。

それらが、「創造性」や「想像性」や「社会的能力」という生きる上で基本とする能力を活性化させるのです。

境界線にはいつも自由がくっつきながら存在しています。

子供たちはびくともしない根っこを必要としています。


第二章

幼児教育の四つの源

一つめ、直感的なもの

二つめ、自由

三つめ、抵抗力

四つめ、一体感

子供たちには、「抵抗力」が必要です。少し、パラドックスに聞こえますが、外の世界では、自由と境界線は一緒です。まるで表裏一体のように存在しています。なぜなら、自然は自由への生きた招待状であり、また他の要素も持っているからです。それは「抵抗力」。

自然は子供たちにとって、人間同士がぶつかり合う出逢いの場です。自然は組織化されていないので予測ができません。そのため、子供たちはつながりを求め合います。子供たちのグループは自然発生的に見えて、実は必然性を伴っているのです。これは、一体感を得るためのグループ作りと言えます。

子供たちは、没頭する時間を持っています。この瞬間こそが、人生の中で一番輝く最高に幸せな時間のです。


第三章

ゆっくりと進むもの。時間をかけて成長するもの。花が咲くまで、果物が熟れるまで、待たなければなりません。人間ではなくて、自然がいつ成長するのかを決めています。いつ生まれて、いつ死ぬのか、自然が決めるのです。力強く成長するために、速いことが大切なのではなく、ゆっくりと育つことが大切。そんなことが学べるのが自然。





第四章

本物の森の中で花が成長するような人間が必要です。太い幹、良い木の皮、深い根っこ。生き生きとしていて、抵抗力があり、社会的能力も持ち、想像性豊かな人間。基本能力を持った人間。

共感する心は、子供たちは教えられるものではなくて、自分たちで見つけなければなりません。そして、大人は子供たちが共感を失くさないようにしなければなりません。



第五章

人生の中で一番大切なことはすべて、関係性の中で学べます。共同生活の中の境界線は、健全な関係性が築けているからこそ成り立つのです。

服従と自制は違います。

生きた自然の中で、子供たちは実りある人生を築くためのキーを自分の力で見つけることができます。



第六章

子供はどうやってリスクを察知できるのか?

それは、実際にやってみて練習することでできる。とにかく、やってみる。やらせてみる。親が先回りして子供に何もやらせないということをしてはいけません。

子供たちは、自分でどうしてもできないことを学ぶ機会を持つべきです。その際には、助けてくれて、勇気を与えてくれる大人が必要であり、そのことを通じて、子供たちは信頼が何かを学ぶことができるのです。

畏敬とは、心配とは違い、特別な信頼です。





第七章

なぜ現在の教育では、知覚能力のみが必要とされているのでしょうか。それは、知識社会が必要としているからです。でも、多くの子供たちは、特別なホワイトカラーの職場で働かないでしょう。




この本の中では、森の幼稚園のことも少し書かれていました!

「森の幼稚園は、関係性を築くための最高の場」だと紹介されています。なぜなら、より自由な場であり、より可能性が広がっているから。

そして、森の自然だけが素晴らしいのではなくて、自然の教育が素晴らしいと書かれていました。

子供たちは、自由空間の中で、独自に自分で考えた遊びができるからです。

小学校の先生は、森の幼稚園や森のプレイグループ出身の子供の方が、社会的能力が高く、想像性豊かだと分析しています。

「自然現象」は自然体験とは違います。木が成長する事を知っているから、成長した木の美しさや力強さを感じることができるとは言えないのです。






第八章

人生を成功させるためには、持続性が大切です。うまくいかなかったときなど、持続する力が重要なのです。





ふむふむと納得できる文章が多く、そして、なにより、「自然は最高の教育の場」と力説されていることに共感しました!




「森の幼稚園も素晴らしい!」と書かれていたのも嬉しかったです。




生きていく上で、関係性がとても大切であること、そして、自由と境界線はコインの表と裏の存在であることという考えに、非常に感動しました!





ラインが引かれているからこそ、自由の大切さを感じられるのかもしれないし、



他人との関係性があるからこそ、仕事や遊びも楽しくなるんだと思います。



幼児教育本でもありますが、大人が生きて行く上でも、ためになるキーワードがたくさん含まれている本だと思います!!
by midorimartin | 2014-01-18 09:03 | ドイツの本