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【視察2日目】ハラヒング森の幼稚園☆

2日目は、ハラヒング森の幼稚園。八期生が実習した園です。森の入り口に位置するようちえんなので、私の中ではロケーション的に「The 森のようちえん」というイメージです。






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この幼稚園も男の先生がいて、イザールアウエン自然幼稚園とはまた違う雰囲気の男の先生です。でもとっても陽気で、一緒にいると楽しくなります。





この日わかったことですが、この男の先生は、救護員(Sanitaeter)として以前働かれていたとのこと。なので、応急処置はバッチリできる方のようです。現に、前日に指の中に入ったというトゲを取る作業も慣れたもので、一人の男の子が転んだときに、歯茎から血を流したときも、歯や歯茎の確認の仕方が救急隊員そのものでした。





朝、トラムの駅に着いて、二日前に下見をしていたので、道はバッチリだったはずなのに、森に入る道を間違えてしまい、結局、この男の先生に駅まで迎えに来てもらうことになってしまいました。




あ〜、恥ずかしい。そして、ごめんなさい。





幼稚園には8時45分ごろ到着。オーストリア人(チロル出身)の女の園長先生もいて、和やかに視察が始まりました。





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バウバーゲン前にあった、お迎え表や、今月の行事案内や、保護者への注意事項が、園庭にある情報板に掲げられていました。実用的になったなあ〜って感心しました。他の幼稚園もみなさん適宜に工夫されて改良されているのですが、この園は更に進化したなあ〜って思うことばかりでした。






まるで、モンテッソーリ幼稚園にいるみたいだったからです。言い換えれば、森の中にあるモンテッソーリ幼稚園みたいな感じ。





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バウバーゲンの外も中も、きれいに整理整頓されています。これは、子供たちが自由に使ってもよい工作の素材たち。




子供たちの手が届く場所に、子供たちが自主的に使えるように設置されています。





バウバーゲンの外も、下側に物を入れるスペースがいくつもあり、扉が開いているときは、自由に使っていいそうです。





自分で取れないときは、先生にお願いすれば、使えるとのこと。先生から子供たちに尋ねることはなく、子供が使いたい物を先生に尋ねるという手法を採用されています。




赤のバウバーゲンは、保育ルーム。キッチンやコート掛け。素材置き場。小さい机とベンチ。子供たちの絵が展示会のように飾られたり、天井からは保護者が作った子供の誕生日のときに使用するお誕生日っ子の王冠がぶら下がっています。手袋も洗濯バサミでヒーターの上にぶら下がり、コート掛けも3人までの子供が使用できるようになっていて、4人目の子供はベンチに座って待つシステム。合理的です。




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青のバウバーゲンは、運動ルーム。お着替えする場所もあり、奥には二段ベッドがあって、リラックスできるようにもなっています。5人までという人数制限もあり、使用した子供の名前もリストに書き込むようになっています。





この園では、3歳でオムツが取れていなければならないというルールは存在しないとのこと。なぜなら、トレーニングはだめで、自然にはずれるのが一番だからだそうです。




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赤と青のバウバーゲンの踊り場には、上からトウモロコシがぶら下がっていて、お客様も私も一粒ずつ試食しました。




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他にも自然素材のデコも飾られていました。ステキです!




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踊り場の外側に、虫のコーナーがありました。なんと、虫を守る団体の年金生活者のおじいさんが、幼稚園の子供たちに虫を観察する装置を作ってくださったそうです。




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野鳥のためのエサも木からぶら下げられ、バウバーゲンの中から、野鳥を観察することもあるそうです。





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雪がよく積もったことがわかる写真。この日の森の気温は、マイナス5度〜マイナス8度。





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園庭にはティッピがいくつかあり、そのうちの一つは子供用の自然トイレです。




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ブランコもいくつかあります。



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9時が過ぎて、朝の会が始まりました。なんと、週に一回、ネーティブスピーカーがやって来て(確かアイルランド人の女性)、2時間ほど、子供たちに英語のレッスンをするそうです。





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朝の会では、私たちの自己紹介をして、子供の人数を数え、英語の先生が英語でレッスンの内容を話して、みんなで多言語で歌える歌を歌いました。




それは、「幸せなら手を叩こう」。ドイツ語で2番まで歌って、日本語では1番だけ。英語は4番まで。




8期生の実習最終日に、この「幸せなら手を叩こう」と子供たちが一生懸命に日本語で歌ってくれたことを思い出し、胸がきゅんとしました、、、、。





朝の会のあと、自由遊びになり、初めて雪が積もったということで、凍った水たまりで「アイススケート〜♫」と言ってはしゃぐ子供たち。




なんとも素朴です、、、。




9時45分くらいになって、みんなで午前のおやつを食べることになりました。その前に手を洗ったのですが、三人の先生がそれぞれの場所に立っていて、子供が着ている服の袖をめくる係、石けんを手にあげる係、手洗いした後にタオルをあげる係でした。





先生が言います。「場所を決めることにより、子供たちはどの場所で何をしなければならないのかを学び、ルールとして捕らえることができるのです」





そして、食事中のルールとしては、おしゃべりしてもいいけど、同じテーブルの子供同士で、ということになっているらしく、違うテーブルの子供に話しかけた子供が先生から注意されていました。





10時15分くらいになり、みんなで、森を抜けて、草原広場に向かいました。病院に止まるヘリコプターの着陸のために木がまったくなく丸裸の草原です。





雪が積もっていて、子供たちは楽しそうに遊んでいます。英語の先生が、お天気を現す英単語をゲームのように子供たちに教えていました。




その後は、色のカードを隠して、みんなに発見させて、色の勉強をして、最後は絵本の読み聞かせでした。




みんながみんな、この英語のレッスンに参加しなければならないという義務はなく、やりたい子供だけやればいいそうです。





そして、遅く来た子は残念ながら参加できず、見てなければなりません。社会のルールですよね。






先生が言います。「気持ちがないのであれば、一緒に学ばない方がいいです。気持ちがない、つまりやる気がないのに学ぼうとしても、学びたい子の邪魔をするだけだからです」






銀世界で寒かったのですが、お天気は良かったです。見てください、この青空。





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英語の先生は11時半くらいに帰られて、その後は、みんなで自由遊び。





先生がまた言います。「森の幼稚園で私が考える最高の時間は、今のこの自由遊びの時間なのです。子供たちは自分のしたいことを創造性を働かせて思いつくからです」





12時くらいになって、バウバーゲンに戻ります。道中、コートをまったく着ていない子供がいました。




びっくりして先生に尋ねると、彼女はもう3年も森の幼稚園に通っていて、3回目の冬になるので、一回は着るように声かけをするけど、着たくないのであれば、着なくてもよいのです。これも、自分で決めなければならないことだからです、と言われました。徹底的に自主性を重んじているなあ〜って思いました。





園舎に戻ってきて、自由遊び。お昼ご飯は3つのグループに分かれます。1グループ、だいたい30分の計算です。私たちは3つ目のグループと一緒に食事することになりました。






最初のお迎え時間です。12時30分〜12時45分。お迎え時間のだいたい10〜15分前には、終わりの会の木のソファに座り、保護者のお迎えを待ちます。





通常は、絵本の読み聞かせをするそうなのですが、子供の人数が少ないということで、先生は子供たちとおしゃべりをすることになりました。一人の子供は、言語療法のアポがあるそうです。




ドイツでは、たとえ、ドイツ人の子供であっても、ドイツ語の発音が正しくない子供は、小学校入学前に言語療法を受けます。それくらい、ドイツでは、セラピーを受けることが身近なのです。





一人だけ女の子が残ってしまいました。先生が保護者に電話すると、14時にお迎えの子供だったようです。この園では、登園時に、保護者が子供の名前が書かれた洗濯バサミをお迎えリストの木の棒に挟むことになっているのですが、何かの手違いが発生したようです、、、、。たまにあると先生がおっしゃっていました。





お昼ご飯を食べない子供は外で自由遊び。食べ終わった子供も外で自由遊びです。





私たちの番になりました。ランチは、ヌードルと野菜スープ。デザートはバニラソース付き焼きリンゴ。この焼きリンゴは特に美味しかったです!




先生は子供たちが自分でお皿によそえるように、小さい器に盛ります。これは、モンテッソーリとまったく同じ手法です!




女の先生から、「青のバウバーゲンを片付けているから、外の子供たちの様子も見てくれる? あと、一人のお母さんにも電話しておいてください」と言われ、まだランチしている子供もいるし、いったいどうするのだろうかと観察していたのですが、ゆっくりと落ち着いて、私たちにデザートをよそってくれていました。





おかわりもこの男の先生がよそってくれて、食事が終わるまで、ずっと赤のバウバーゲンの中にいました。





何があっても、ルールを守ることが、もしかしたら、モンテッソーリ教育、あるいは、この園の方針なのかもしれませんが、例えば私に、「子供たちにデザートをあげてくれる?ちょっと外の子供たちの様子を見てきます」とか言ってもよかったのではないかと思ったのですが、それは私は外部の人間であって、先生ではないので、できない相談だったのかもしれません、、、。





一度に3つのことをお願いされた男の先生が気の毒だなあ〜って思った次第です、、、。




なぜなら、パートタイムの先生が途中で帰ってしまったためです。





14時〜14時15分が次のお迎え時間で、私たちは時間ギリギリに食事を終了して、終わりの会の木のソファに行きました。





14時14分くらいに保護者がぞろぞろ集まってきました。





お客様が「うちの園もお迎え時間の1分前にみなさんよく来られるので一緒ですね〜」と言われたことが印象的でした。







男の先生が私たちにつきっきりでたくさん幼稚園の説明をしてくださったので本当に細やかな人だなあって思いました。特に、食事のとき、「多くよそってしまうと、残してはいけないと思って、食べすぎることになってもいけないし、でも、少なすぎてもいけないし、、、、」みたいなことを言われたので、本当に神経が細やかな人だなあ〜って、ますます感心してしまいました。





八期生の実習の最終日に一日同行して以来でしたので、約一年ぶりの見学になったのですが、八期生のことを覚えている子供たちに感激しました。





そして、私たちを暖かく迎えてくださった先生や子供たちにも感謝です。





なぜ、この森の幼稚園が、急激にモンテッソーリ化しているのか少し考えてみたのですが、恐らく、私が懇意にしているモンテッソーリ幼稚園のセラピストさんが、週に一度、スーパーバイザーとして、幼稚園を一日見学して、いろんなアドバイスをされているからなのではないかと想像しています。




先生いわく、このセラピストさんからは、どちらかと言えば、一人ひとりの子供のことでアドバイスをしてもらっていますというお話でしたが、更にシステム化して、実用的、合理的な保育になっているので、森のようちえんとモンテッソーリ教育が見事に融合している幼稚園として、この先、どのように進化していくのか興味津々です!
by midorimartin | 2013-11-29 08:14 | ドイツの森の幼稚園