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【視察5日目】公立の幼稚園

視察5日目は、公立の幼稚園。私はなんと初めてドイツの公立の幼稚園の保育をじっくりと見学できました!




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私の娘は地元のキリスト教付属の幼稚園だったし、幼稚園の申し込みのためのオープンデーのときに、いくつか地元の公立の幼稚園に申し込みに行きましたが、そのときは必死でゆっくり見学するという感じではなかったので、まったく覚えていなくて、とっても新鮮な気持ちで視察に挑むことができました。




この日の視察は、ミュンヘン市のスポーツ観光局に所属されている、私の知人でもある日本人女性が同行してくださり、いろいろ説明してくださいました。私は初めて、私以外の人に通訳をしてもらうという経験をしたので、非常に興味深い体験をしました。


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場所は市中心地の近く。つまり、都会の幼稚園。




お客様がモンテッソーリ幼稚園をオープンされるご予定なので、モンテッソーリ教具を保育で使用されている公立の幼稚園をリクエストさせて頂きました。




50名の園児が通うオープンクラスの幼稚園。先生は5名、実習生は2名。まず園長先生が私たちを迎えてくださいました。




教室に入ると、週二回ある「森の日」で取ってきた葉っぱを感想させて作ったデコが窓に飾られていました。あ〜、私の大好きな森の幼稚園の世界です♫



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そして、モンテッソーリ教具で遊ぶ子供たちがたくさんいることに衝撃を受けました。



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先生が次々と教具を子供たちに渡して、学ばせています。例えば、「算数」。先生が言う数字に合う玉を子供たちは並べていきます。



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お世話してくださった日本人の先生のお話では、「子供たちはモンテッソーリ教具と知らずに遊んでいます。そして、保護者もどれがモンテッソーリ教具なのかは知らされていません。興味がある人だけ教えてもらえるという感じです」




お客様から「モンテッソーリ幼稚園で、モンテ教具を使って遊んでいる子供がいなかったのに、公立園でモンテ教具を使う子供たちを見ることになるなんて、、、」という率直なご感想を頂き、私もそうだなあ〜、なんでだろう?って思ってしまったのですが、きっと「誘導保育」か「見守り保育」の違いなんだと思います。




モンテッソーリ幼稚園は、完全なる「見守り保育」。でも、公立園では園児の数が多いので、「見守り保育」っていう訳にはいきません。「誘導保育」だから、モンテ教具を使う多くの園児の姿が見れたのだと思います。



廊下には季節のテーブルがありました。



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運動ルームでボールを使って遊ぶ子供たちを見学しました。2階にある多目的ホールで行われ、この場所ではお昼寝もするそうです。そのため、床には布団を敷く位置がわかる目印として可愛らしいシールが貼られていました。




運動をし終わった後、先生が「運動したから飲みましょう」と言って、子供たちにお水をコップに注いで配っていました。




10時半になって「ヘルシーな朝食」を頂きました。バターを塗った穀物パン、キュウリや赤パプリカやニンジンの野菜スティック、リンゴやバナナ等のフルーツ。パンも野菜スティックもフルーツも美味しかったです。




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これは何かわかりますか?栗を使ったハリネズミです。とっても可愛いですよね〜。




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こんな教材もありました。これもモンテ教具かな?シュタイナーでも見た気がします、、、、。





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まるで日本の幼稚園? 教室内に水槽もありました! 娘が通ったキリスト教付属の幼稚園にも水槽があったのかどうか思い出せません、、、、。




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園庭です。そして、ビオトープ。






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11時になり、「Stuhlkreis」と呼ばれる集会が始まりました。私は初めて聞いた名前です。




イスに座るから、「イスの会」という名称になっているとか。




50名の子供たちが各自イスを運んできます。そして、円になって座ります。年長さんは真ん中で床に直接座って円になります。




先生もイスに座って、私たちも座りました。人数が多いせいか、見ていて圧倒されます。



先生が言います。「背骨をピンと伸ばして座ってね」。そして、耳たぶを触ってから、「口を閉じて、隣りの人に話をしましょう」と言います。




その後、「週末はバイクで出かけましょう」と言って、「ブーン」とみんなで言います。「遠くに行ってしまうバイクの音は小さくなります」と先生が言うと、みんなも真似します。




歌を歌って、手で膝を叩いてリトミック。今度は言葉遊びのような感じの歌をみんなで歌います。




「火」がテーマで、「パチパチ」や「メラメラ」など、火の様子を擬音語で表現していきます。年長さんに歌詞を暗譜で復唱させて覚えさせます。その後、ピアノを鳴らして、子供たちにメロディーを覚えさせて歌を歌いました。




先生が子供たちに「この曲は4拍子ですが、ゆっくり歌うのはなぜでしょうか?誰かわかりますか?」と言って尋ねました。子供たちが次々に答えて行きます。「新しい歌だから」、「言葉が難しいから」、などなど。




そのときの子供たちの集中力がすごくて、「うわっ、この公立幼稚園はすごい!」って思わず感動してしまいました。でも、これが「誘導保育」の賜物なんでしょうね。




そして、これが保護者が思う「小学校入学前に必要な集団社会に慣れる」という条件をクリアしている姿なのかもしれないと思いました。公立の幼稚園では1クラス25名までですが、小学校になると1クラス30名までになり先生も一人になるからです。幼稚園は二人あるいは実習生も含めれば三人。




園長先生とのお話になりました。お世話してくださった日本人の先生が通訳してくださいましたので、私はたくさんメモを取ることができました。Yさん、本当にありがとうございます!!





まず、この幼稚園は、7時半〜17時までの預かり時間で、49%の園児がミュンヘン工科大学の学生の子供たち。そのため、あらゆる国の子供たちがやって来ていると園長先生はおっしゃってました。
工科大学付属の幼稚園と言っても過言ではない感じですよね。





モンテッソーリ教具がたくさんありますが、教具は高いので、全部揃っている幼稚園はほんの一握りだとか(ミュンヘンに350ほどある公立の幼稚園の中で10園くらい)。




あと、ピアノがあるのは20%の割合だそうです。ギターが多いということでした。






お客様の質問として、「理想的な先生、理想的な幼稚園はなんですか?」




先生のお返事は、、、



「理想的な先生は、忍耐強くてユーモアがあること。理想的な幼稚園はロケーションによって違います。例えば、うちのような都会にある幼稚園に来る子供たちは高所得の家庭が多いので、子供の心の発達を促すための教育に関心があります。しかし、移民家族や低所得の家庭が多く住む地域では、文字に触れさせることが大切であり、親の関心度が全く違います。そのため、一概に理想の幼稚園を語ることができません」




なるほど、ごもっともだと思いました。でも、園長先生にとって、彼女の園で働き続けるためのポリシーや動機づけはなんなのだろうか?と思いました。今回、お客様がどの視察園にも尋ねられたスタンダードな質問内容でしたので、私も今後は新しく行く幼稚園に聞いてみたいって思ってしまいました。





バイエルン州は他の州よりも教育レベルが高いので、バイエルン州で取得した資格は、他の州で即通用するけど、他の州で取得した資格は、バイエルン州では通用しないそうです。




また、各州に置いて、文部省の推進本の厚みが違うようで、バイエルン州は500ページほどあるそうな。「人格形成」が一番に掲げられているそうです。




この公立幼稚園では、園長先生と副園長先生がモンテッソーリの資格を取得されていて、若い先生たちに教えられているとのこと。モンテッソーリ教員免許の資格を取るのに、園の休みを利用して勉強しなければならず、一年半ほどかかり、金額も3000ユーロと高額のためです。




「先生から見て、シュタイナー幼稚園やモンテッソーリ幼稚園の位置づけはどのように思われますか?」というお客様からの質問に対して、園長先生の答えは、、、、





「シュタイナー幼稚園とモンテッソーリ幼稚園は、プライベートになり、人気があるので入りにくいです。シュタイナー教育は、保護して見守る教育という感じですが、モンテッソーリ教育は、自立を促す教育だと思います」




モンテッソーリ幼稚園は現在ミュンヘンには7園あり、シュタイナー幼稚園はミュンヘン市内に2園、ミュンヘン市郊外に1園あります。



園長先生と二人でおしゃべりしたときに、「実はね、私の子供二人がモンテッソーリ学校に通っていたのよ」と告げられ、あ〜、なるほどなあ〜、だから、彼女はモンテッソーリ教具の良さを知っているから、自分の園でたくさん使っているのかと納得した次第。



とにかく、今回の公立の幼稚園の見学は私に変革をもたらせました。




あと、補足説明になりますが、公立の幼稚園は園長先生のカラーが反映されるために、森のようちえん風(おもちゃなし保育など)や、シュタイナー風(環境的や、色遣いなど)いろいろな園があるとのことです。今後もミュンヘンの公立園を見学する機会があればいいなあ〜って思っています!
by midorimartin | 2013-10-28 07:48 | ドイツの公立の幼稚園