以下、総会の休憩時に書き記した原稿をアップします。
6月23日(土)
娘のバレエの準備をしてからランズフットに向かった。駅からはタクシー。11時少し前に総会会場に到着。森に囲まれているので驚いた。
部屋は地下にあり、目の前が森。なんと、部屋から外に出られるのだ。これにも驚いた。
浴衣にすぐ着替えて、ブースの準備。日本地図を貼り、日本の森の幼稚園の写真を貼った。スライドショーを見せるために、DVDプレイヤーを再生。延長コードも用意してもらった。
ファサナリー自然幼稚園の先生に会った。ブースと私の写真を撮ってもらった。その後、フラウヒャー自然幼稚園の先生にも会った。その二人の先生と昼食に出かけた。野菜たっぷりラザニアと新鮮なサラダ。デザートはヨーグルト。
またブースに戻る。何人かの人にアンケートに記入してもらった。思ったよりも反響があり、日本人実習生に関心があることがわかった。
向かいの森の幼稚園グッズを販売している人がいて、声をかけられた。なんと何回かメールをしたことがあるバイエルン州の森の幼稚園連盟の幹部だった。とっても穏やかで感じがいい人。アウグスブルクの森の幼稚園で働いているらしく、日本人実習生に興味を持ってくれた。
その後、女性がやってきて、誰だろうと思ったら、「ドイツの森の幼稚園」の著者のミクリッツ氏だった。ミクリッツさんは、6週間病床につかれていたとき、詩を書き貯めしたようだ。今度それを出版するらしい。
小学生の女の子がやってきて、学校の宗教の先生が日本に行ったことがあり、被災者のために学校全体で一週間かけて千羽鶴を折ってくれたらしい。驚いた。そして、感激した。
浴衣が着慣れないので、帯の部分が痛くなってきた。草履も鼻緒が痛くなり、また草履の底で素足を傷つけてしまって出血。だんだんときつくなってきた。
チラシが途中で無くなってしまい、店閉まいをしようかと思ったのだが、コピーしたらどうかとアドバイスを受けたので、続けることに。浴衣と草履が窮屈になってきたので、今服に着替えてこの文章を書きながら休憩。さあ、今からブースに戻ろう(16時45分)。
「日本の森のようちえんは国から援助を受けているのか?」と聞かれ、「そこまで制度が整ってない」と答えたところ、ドイツも最初から援助があったわけではなくて、7年前からの制度だとのこと。
ある女性から、アンケートの回答として最低限は英語ができることと言われた。何人かの人はアンケート用紙を持ち帰ってまた連絡しますとのことだった。
資料のコピーをしてもらうのに少しブースから離れて戻ったところ、浴衣を着ていないせいか、最初誰も来ず。おもしろいな〜と思って、ひたすら鶴を折っていたところ、ウンターメンチング森の幼稚園の先生がブースに立ち寄ってくれて、おしゃべり。すると、次々と人が集まってきたので、すごいな〜とまた感心。群衆心理を垣間見た感じ。
その後、また人が途絶えたので、17時50分で店終い。あ〜、スッキリ。この後は夕食だ。部屋から森が見えるって本当にいい。
結局、アンケート用紙は8枚戻ってきた。「日本人実習生に興味がありますか?」という質問に対して、「はい」が8枚、「たぶん」が1枚、「不明」が2枚、「いいえ」が1枚。また、「日本人実習生に期待すること」には、「人間性が良ければ、語学レベルが低くても大丈夫」という答えが圧倒的に多かった。
アウグスブルクの連盟幹部の方とは一緒に仕事がしたいと思った。ミュンヘン市立幼稚園勤務の女性が一緒にいて、ミュンヘンの幼稚園で園児が一人ずつ日本のように手帳をもらうシステムが導入されるらしい。
DVDプレイヤーで流した「森のようちえん」のスライドショーは効果抜群で、日本の森のようちえんの良い印象を持ってくれたのではないかと思う。その点では日本の森の幼稚園ネットワークさんに感謝である。
思ったよりも疲労感。そして、足が痛い。夫と娘に会いたい。家族への郷愁が心地良い。
晩ご飯もとってもおいしかった。スープ、オードブル、ミニシュークリーム。ウンターメンチング森の幼稚園の先生と一緒に食事した。彼女はトルコ人とドイツ人のハーフで、現在イギリス人の彼氏がいるそうな。とっても話やすくて気に入った。明日もミュンヘンまで送ってくれるらしい。大変ありがたい。
夜ご飯の後、二人で森を散歩した。飼い猫のような野良猫(?)がいてとってもかわいかった。
3名参加女性と出会って立ち話。日本の森のようちえんの話になった。
今回の総会でよく聞かれた質問は以下。
①日本の森のようちえんはいつからあるの? ➡ 1983年に長野で
②1クラスの子どもの人数と先生の人数は? ➡ 15名と2名
③日本の森のようちえんの数は?➡100
④毎日森で過ごしているの?➡はい
⑤国からの助成金はあるの?➡ない
⑥なぜドイツの森の幼稚園で実習したいの?➡日本のテレビ番組でドイツの森の幼稚園が取り上げら
れたから。デンマークよりもドイツの方が森の幼稚園の数が多いから。
⑦日本人実習生の言葉の習得は?➡ドイツで語学学校に行って勉強。でも初級レベル。だけど、園児とのコミュニケーションは問題なし。園児を怒るときにフラストレーションを感じるらしい。
⑧日本の森の感じはどんな感じ?➡ドイツのように森はあるけど、日本は島国なので森が険しい。平ではありません。
⑨どういうきっかけで森の幼稚園事業をやっているのか?➡日本のビジネスパートナーである「オーペア情報センター」の社長からビジョンを聞かされ、その夢をかなえてあげたいと思ったため。ミュンヘンの森の幼稚園とはゼロから関係を築いて作り上げていった。
⑩ミクリッツ氏より。日本とドイツの交換プログラムはあるのか?➡今のところなし。ただ、あったとしても、私個人の見解だが、ドイツ人が日本語を本当にある程度理解しないと難しいだろう。なぜなら、多くの日本人はドイツ語も英語も理解しないから。学校で英語を勉強するけど会話は難しい。
⑪ミクリッツ氏より。日本の機関から依頼されてやっているのか?➡いいえ、そんなことはない。日本のビジネスパートナーと共同でやっている。
⑫ 日本の森のようちえんの小学校準備はどうなってるの?➡うまくいっている(本当はどうなのか?)
今22時。いろんなことを体験した一日になった。おやすみなさい。
6月24日(日)
朝5時50分に鳥のさえずりで目覚め。家にいるかと思った。オンライン新聞等を読み、メモ書き。さあ、今からシャワーするぞ。7時に朝食に出かけよう。
朝食もバイキング形式になっていて、最高においしかった!おもしろいことに二人の参加女性から声をかけられ、一緒に朝食。ウンターメンチング森の幼稚園の先生もやってきて、みんなで「Selbstdisziplin(自己抑制)」のことで盛り上がった。大人は子どもの手本でなければならないとか、厳しすぎてもだめとか。ミクリッツ氏のワークショップのテーマが「Selbstdisziplin(自己抑制)」なので、彼女はやっぱり注目の的のようだ。
9時に基調講演『幼稚園から小学校への移行期間を共同形成。小学校の森の幼稚園卒園児。モデルケース「建設的な共同作業」』が始まった。
森の幼稚園と小学校のコラボに興味深々。バイエルンの森にあるベルンリート小学校の校長先生と便リート森の幼稚園の園長先生が講演。
まずは導入として、小学校の校長先生が「うちは田舎の小学校です。チャイムもいらないと思っているくらいです。勉強はチャイムがなって途切れるものではなくて、本来なら子どもの興味に合わせて授業を終了するべき」と意欲的な発言から始まった。
幼稚園の園長先生は、「視線の高さを同じにして共同作業をするべき」と強調。校長先生は更にお話を続けた。「不安感をなくすために小学校は幼稚園を積極的に招待するべき。また、幼稚園には幼稚園にしかできないことがあるので、小学校入学準備のための施設だけになってはいけない」
園長先生が、自然発生した森の幼稚園のプロジェクト「ウール」のことを話された。それはたまたま行った草原に羊が100匹いて、4時間ひたすら羊の観察をしたらしい。その後、羊を数え始めたけどうまくいかず。羊が放牧犬の言うことだけを聞くことも勉強。一人の子どもが「僕はパパの言うことを聞いてない」と言ってみんなを笑わせたらしい。そして、後日、その羊たちの羊毛刈りのイベントがあったので、子ども達と一緒に見に行って、刈った羊毛をプレゼントとしてもらい、子供たちが自然の羊毛をまずは洗った。子ども達は、触って、匂って、見て、聞いて、五感を使って思いっきり体感。羊のチーズを食べたり、羊のミルクを飲んだり、職人さんを呼んで羊毛から毛糸の玉にしたりと、一つのプロジェクトのテーマから子供達はたくさんのことを学んだとのこと。
園長先生のお話。「小学校入学準備があるので、子ども達自身の興味で動くことが非常に難しい。だからこそ、このような自然発生的な形で素晴らしいプロジェクトができたことにとても感謝しています」
校長先生のお話。「オープンな学習シチュエーションを小学校で作るのは、査定をするためのカリキュラムがあるので難しい。そのため、創造性は幼稚園で養うべきことです」
幼稚園の園長先生が続けます。「木が一本横たわっています。上に乗ってバランス感覚を養ったり、助けが必要なお友達を手伝ったりして、チームワークを習得します。子供たちは子供たち同士で学び合うのです。例えば、小学校入学準備ですが、子供達が30分間、地面に座って一つのテーマで話し合っているのも、入学準備ができていると言えると思います。子供達の作品を保管するためのファイリングも無くしました。なぜなら、あるお母さんが、「私の娘は40枚絵を描きました。息子は20枚です。息子は絵が下手なのでしょうか??」と尋ねてきたからです。不問ですよね。
危険は子供たち自身が察知しなければなりません。そのためには、大人が子供たちの行動に対して寛大でなければなりません。
小学一年生が森の幼稚園を訪れて、園児に本を読み聞かせることにより、園児は本が読める一年生に憧れを抱いて私もそうなりたいとモチベーションにつなげることができます。
本当にためになる基調講演でした!
コーヒー休憩のあと、ワークショップがありました。私は「芸術的な仕事 土の色素と植物の色」に参加しました。このワークショップの模様は後日アップします。
帰りは総会で仲良くなった森の幼稚園の先生がミュンヘンまで車で送ってくれました。とってもとっても楽しくて充実した総会でした!!
以下は総会の概要を和訳したものです。
第六回バイエルン州の森の幼稚園連盟の総会「就学までの道のり」
http://www.lv-waldkindergarten-bayern.de/
森の幼稚園の教育者と森の教育学にご興味がある方へ
第六回バイエルン州の森の幼稚園連盟の総会のモットーは「就学までの道のり」です。
私たちはいつも保護者から尋ねられています。
「私の子供は小学校入学準備がちゃんとできていますか?」
私たちは、専門的に分かれた様々なテーマを提供することにより、この質問の回答を用意しています。森の幼稚園に携わっている教育者や運営者や保護者、並びに、森の幼稚園に興味をお持ちの小学校教諭や関連役所が、それぞれにとって重要な回答を家に持って帰られることを願っています。
休憩時間と夕方に、新しいネットワーク作りや興味深い体験等の情報交換のための十分な時間を設けています。
私たちは情報満載でわくわくする二日間に期待しています。
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総会の一覧表
モットーは「就学までの道のり」
2012年6月23日(土)
7:45 受付
8:30 総会オープニング
9:00 一回目の分科会
1) 保護者とのしつけと教育のパートナーシップ ー どのように機能するのか?
アンケ・ボルフラム
パメラ・カーレルト
2) 森の幼稚園での教育プロセス ー 四季を通じて絵本の旅
アニカ・フンケ
3) 早期教育 ー 自然と森の幼稚園の中の保育園卒園児
ルドルフ・ヘティッヒ
4) 森の幼稚園と男たち
トビアス・シーサー
5) 物語の音楽的構造
ヨハナ・ケレラー
10:30 休憩
10:45 基調講演
小学校入学のために価値あることと生きる能力との間で
PISAパニックとは関係のない子供達の発達と要求への眼差し
体育教師 トルステン・ホイアー
12:00 昼食
13:30 二回目の分科会
1) 権利の最新情報: 助けて。私は試されている。
弁護士 アルネ・シュベマー
2) 私たちの子供達の自由遊び ー 教育場面が死ぬ
トルステン・ホイアー
3) 自然の工作 パート1 (アウトドア)
ルドルフ・ヘティッヒ
4) 男の子は違う ー なぜ? 森の幼稚園の男の子教育学 パート1 ー 基礎
イルミン・エブナーシュッツ
5) 自然 ー すべての五感体験 パート1 (アウトドア)
シモーネ・ベッカー、アンネ・コヘット
15:00 休憩
15:30 三回目の分科会
1) 権利の最新情報: BayKiBigとSGB VIIIについて
弁護士 アルネ・シュベマー
2) 運動と学習
トルステン・ホイアー
3) 自然の工作 パート2 (アウトドア)
ルドルフ・ヘティッヒ
4) 男の子は違う ー なぜ? 森の幼稚園の男の子教育学 パート2 ー 実践
イルミン・エブナーシュッツ
5) 自然 ー すべての五感体験 パート2 (アウトドア)
シモーネ・ベッカー、アンネ・コヘット
17:00 休憩
17:30 会員総会(選挙)
19:00 夕食
2012年6月24日(日)
8:15 受付
8:45 二日目のオープニング
9:00 基調講演
幼稚園から小学校への移行期間を共同形成。小学校の森の幼稚園卒園児。モデルケース「建設的な共同作業」
10:30 コーヒー休憩
11:00 四回目の分科会
1) 強いチーム ー マネージメントの重要性とは
フランツ・ジェイ・エム・フーバー
2) ハーブと植物の世界を通じての基礎能力
アストリッド・グルーバー
3) ロープと木 運動空間 パート1 (アウトドア)
ステファニー・プリュシュケ
4) 「鹿使いの宝箱」 自然の中の子供とメルヘン パート1 (アウトドア)
フォルカー・パタロング
5) 芸術的な仕事 土の色素と植物の色 パート1
エルケ・ヨルダン
6) ガラス箱の中の子供時代 ー 子供にとって良いことか? 講演
イングリッド・ミクリッツ
12:30 休憩
12:45 五回目の分科会
1) 団体の中での組織の作り方
カティ・ゲブハルト
2) 森の中の年老いたウサギ
トビアス・シーサー
3) 運動空間 パート2 (アウトドア)
ステファニー・プリュシュケ
4) 「鹿使いの宝箱」 自然の中の子供とメルヘン パート2 (アウトドア)
フォルカー・パタロング
5) 芸術的な仕事 土の色素と植物の色 パート2
エルケ・ヨルダン
6) 自己規律のためのワークショップ (講演予定)
イングリット・ミクリッツ