一昨日から始まった、ドイツ教育機関視察ツアー。初日はラマースドルフのモンテッソーリ幼稚園を訪れました。
住宅街の一角にあり、民家を園舎として利用している、とっても素敵なモンテッソーリ幼稚園です♪
昨年の11月24日、インターンシップと視察が可能かどうかお話するために訪問した幼稚園で、私にとっては今回は2回目の訪問になり、初めて視察として訪れたことにもなります。
11月の見学のときの模様はこちら。→
http://miamama.exblog.jp/15056440/
登園時間の開始が8時で、降園時間の終了が15時。私たちは7時40分くらいに着いてしまい、まずは幼稚園のバスの写真を撮りました。
幼稚園の外観はこんな感じです。建て増しした部分は窓も大きく、カントリー調で、温かい日差しが入ってくるようになっています。
園庭はコの字型になっています。トーテンポールがあり、避難用の滑り台も見えます。
8時少し前ですが、幼稚園の中に入らせてもらいました。まずは地階の年長クラスから見せてもらいました。
Brotzeit(二回目の朝食)の時間は登園から10時までと決まっていまして、子どもは自分で食べる時間や量を自由選択できます。食べない選択肢もあります。
子どもによっては、登園してすぐに朝食を食べたい子どももいれば、先に遊んでから食べたい子どももいるからです。
年長さんは食べ残しのお皿をネームプレートをつけて棚に置き、お昼ご飯のときに食べることになります。(食べなかったときは、捨てられることになりますが、先生がそのときに、「今日は食べれなかったけど、明日は考えてね」とお声かけをするそうです)
子ども達は自分が使った食器を荒い、自分の食器の場所に戻します。
万能月カレンダーがありました。クリップに数字が書いてあって紐に通され、「森の日」などイベントカードをはさんだり、誕生日っ子のカードも挟みます。視察のお客様はとっても感動されていて、ご自身が今度働かれる幼稚園にアイデアを持ち帰りたいとおっしゃっていられたので私はとっても嬉しく思いました。
週カレンダーもありました。こちらは釘になっていて、週ごとのセラピーの名前や先生の写真カード、二回目の朝食のメニュ(チーズ、ハム、ハチミツ)、イベントカードがかけられていました。
(月)Logopaedie(言語療法)、リトミック
(火)Spieltherapie(遊び療法)
(水)Waldtag(森の日)
(木)Ergotherapie(作業療法)
(金)Musik(音楽療法)
このBrotzeitの後、昼食時間も子どもが自分で決定します。18名いる年長クラスは、9名ずつ2つの昼食グループに分かれる必要があるので、昼食時間は2つに分かれてまして、1回目は10時30分から11時30分、2回目は11時30分から12時30分。
なんとこのお昼も食べない選択肢があり、午後におやつタイムがあるので、そのときに食べる子どもがいるからです。いやはや、「子どもの自由意思による決定」がここまで徹底しているなんてオドロキました。
保育室は改装された外側に大きな窓がついているので温かい光が注ぎ込み、子どもに自然な空間を与えています。
そして、シュタイナーの季節のテーブルを発見しました!
「モンテッソーリでシュタイナー???」って思ったのですが、先生に尋ねてみると、「シュタイナーだからというこだわりを持っているわけではありません。良いと思ったから取り入れているだけです」というお返事でした。
長野の森の幼稚園でもシュタイナーを取り入れていましたし、良いものは融合しようっていうスタイルは好きですね~。
保育室では、「モンテッソーリ・コーナー」、「工作・お絵かきコーナー」・「リラックス・絵本コーナー」・「積み木コーナー」の4つの空間に分かれてました。
うまく空間を使われている状態を見て、これがモンテッソーリが言う「整備された環境」なんだと思いました。
「工作・お絵かきコーナー」には、ブロックと釘とかなづちが置かれています。ブロックにはあらかじめ小さい穴が開いていて、その穴の中に釘を差込み、かなづちで釘を打つ練習が簡単にできるようになっていました。工夫が大事の良い見本です!
自由遊びを観察していると、お絵かきコーナーでマンダラに色を塗っている子どもや、自分の創作でお絵かきしている子どもがいて、一人の男の子がお客様に絵のプレゼントをしていました!
私は年少クラスで、一人の女の子から絵をもらいました♪
他には、モンテッソーリコーナーでビー玉で遊んでいる子ども、積み木コーナーで積み木を積んで遊んでいる子どもやはめ絵遊びをしている子どもがいました。
おもしろいことに、積み木を積んで遊んでいた子どもはネームプレートを置いたのです。これは、「まだ遊んでいるから壊さないでね」というサインで、子どもが自分で「まだ遊ぶのかどうか」を決めることができます。
先生に尋ねると、ネームプレートが置かれた物は、一日の終わりまで誰も手をつけないそうです。残っている場合は、最後に片付けるというのがルール。子どももみんなそのルールを守っているので、物を壊すことがありません。
子ども達がお互いに尊重しあっているって、こういうことなんだと思いました!
地下室にも、運動室や木工作業室があり、子ども達に自由遊びができるスペースがふんだんに提供されています。
一人の男の子が作ったという作品がありました。見事な完成ぶりに感動してしまいました!
ここには新しい遊具として、箱庭の砂場がありました。部屋の中で砂遊びができるっていいですよね~。砂をこぼしてしまった場合、子どもが自分で片付けます。
サウナの部屋が廊下の奥にあって、そこは隠れ家のように工夫され、サウナ室の前には人形ごっこコーナーになっています。またまた空間をうまく利用してますよね~。
10時30分になり、2階の年少クラスに移動しました。前もって、「子どもを観察するだけで、話しかけないでください」と言われていたので、静かに見ていました。
保育室の部屋割りは、年長クラスと同じなのですが、年長さんのキッチンの場所が年少さんの運動室になっていました。年少さんのキッチンは、地階で料理を作る大型キッチンの真上になります。
年少さんたちの自由遊びは、リラックス・絵本コーナーで、先生が絵本読み聞かせ。モンテッソーリ・コーナーでパズル。積み木コーナーで騎士の砦を作る。お絵かきコーナーで創作色塗り。運動室でごっこ遊び。小さいテーブルで人形ごっこ。
どちらかというと、一人ひとりが自分の世界に入って遊んでいるというスタイルが目立ちました。
男の子同士が権力争いで声を荒げるシーンもありましたが、基本的にみんな静かに遊んでいます。
年少さんなのに集中力の高さにびっくりしてしまいました!
年少さんの昼食期間は、11時10分から11時40分、11時40分から12時10分に分かれています。人数は15名で、基本的に2つに分かれるのですが、みんなが一緒に食べ終わることがないので、1つめのグループで半分食べ終わったら、2つめのグループの子ども達が順番に入っているくるというスタイルのようです。
年長も年少も、先生はBrotzeitと昼食を食べた子どもをチェックリストに◎をつけていきます。このチェックリストは保護者に見せるためのもののようです。
私たちは年少さんの食事時間を観察したのですが、子どもは自分で好きな量を自由選択して、自分のお皿やグラスに入れます。
例えば、ガスありのお水とガスなしのお水、ホットケーキ、ジャム、スープがそれぞれ置かれ、子ども達が取り皿に入れていきます。
おもしろいことに、スープはまずは一杯味見をして、おいしいと思ったらお皿につぎ、おいしくないと思ったら「おいしくないから要らない」と言えば食べなくても良いそうです。
年少は自分の食器を洗う力がないので、食器をお盆の上に置いて、食べ残しをボールに捨てます。
プラスチックのコップやお皿は一切使われません。それは食事のマナーを学ぶためだそうです。
年少からちゃんとルールやマナーを学ぶ姿に大変感動しました!
13時頃、私たちは3階にある先生の休憩室で昼食を食べました。太陽の光が差し込み、温かいぬくもりのあるソファが置かれているので、思わずウトウトしてしまいそうになりました。
食事の後、みんなが園庭で遊んでいるので再び観察。ポンプを使って水遊びをしていました。とっても楽しそうでした。
もう一つの砂場で遊んでいる子ども。木登りしている子ども。遊具を使って遊ぶ子ども。小さいログハウスで遊ぶ子ども。本当にみんな思い思いに自由遊びを楽しんでいます。
降園時間は、13時、14時、15時。この日は6人いる先生のうち、3名が病休だったので、社会教育者の園長先生が代わりに保育されていました。
本来なら、13時45分に終わりの会があるのですが、スタッフが少ないという理由でキャンセルになり、14時45分の終わりの会のみ観察できました。
一人の先生が15分小話をして、年長と年少の気持ちがリラックスしていきます。今日のお話は「おもしろいお話(Quatschgeschichte)」だったので、とってもおもしろかったです。
15時過ぎに、園長先生とトークさせて頂く機会があり、まずはセラピールームを見せてもらいました。箱庭療法に使うセラピールームも見せてもらい、お客様は大変感動されていました。
箱庭は子どもの精神を無意識に映し出す鏡であり、セラピストは結果を写真に収めて、年間10枚ほど集めて、子どもの心の成長を観察し、保護者とお話されるそうです。子どもの心が危険な状態にあると判断したときは、保護者にすぐに報告されるそうで、障害を持つ子どもへのケアのレベルの高さに驚きました。
園長先生とのお話は大変興味深く、保育園ではハンガリー人の医者Emil Piklerの教育に則って保育をされていることで、Piklerの勉強もしなくては!って思いました。
ドイツと日本の教育の違いに、園長先生もお客様も関心を持たれ、活発な情報交換の場を得られたのではないかと思っています。
こんなステキなモンテッソーリ幼稚園を視察先として提携させてもらって本当に心から感謝しています。
最後に子どもたちオリジナルのてんとう虫リラックスまくらです!とってもプリティーです!!