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大阪の「くすのき園あびこシュタイナー幼稚園」を訪れて

ミュンヘンに戻る前日、つまり出張の最終日である2月23日(水)、私は大阪の「くすのき園あびこシュタイナー幼稚園」を訪れました。




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リンクはこちらです → http://kusunokien.exblog.jp/






場所は、前日に集合場所として指定されていた、南海高野線の我孫子前駅から徒歩訳10分のところ。



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「森のようちえん どんぐり」の和田園長先生と、「堺市ふれあいの森」のレンジャーのYさんが、私のために一緒にくすのき園あびこシュタイナー幼稚園の場所を見つけてくださったので、当日は余裕を持って出かけることができました(和田園長先生、Yさん、その節は本当にありがとうございました!)






今回の出張で、行きたかったところは、もちろん森の幼稚園で、その次にはシュタイナー幼稚園、そしてモンテッソーリ幼稚園。





モンテッソーリ幼稚園には幾つかドイツからお問合せをしてみたのですがなしのつぶてで、シュタイナー幼稚園も横浜シュタイナー学園の講座のみでしたので途方に暮れていたところ、「空堀ことば塾」の「ことばの家・水曜講座」に受講することを思いつき問合せしたところ、講師の諏訪耕志さんからお返事があり、「くすのき園あびこシュタイナー幼稚園」をご紹介して頂いたのでした。





空堀ことば塾のリンクはこちらです。http://space.geocities.jp/kotoba_jyuku/index.html





水曜講座が10時から12時、くすのき園あびこシュタイナー幼稚園への訪問が13時半だったため、ランチしてから移動することが無理と判断して、水曜講座の受講を断念せざるを得なかったのですが、諏訪先生には心から感謝しています(諏訪先生、くすのき園あびこシュタイナー幼稚園をご紹介くださり本当にありがとうございました!)。





12時45分くらいに到着してしまい、私は外にいて保育終了を待っていました。すると、13時15分くらいに、子供たちが一つのお部屋に集まっているような様子が伝わってきたので、窓の側に立っていると、園舎の中から先生の美しい歌声が聞こえてました。




ミュンヘンのシュタイナー幼稚園を訪れたことがあるので、先生がどんなことをしていて、子供たちがどんな様子なのか、だいたい想像することができました。






約束の時間になったのでご訪問。まずは玄関にあった美しい冬のヴァルドルフ人形が私を出迎えてくれました。




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そして、キッチンに通して頂きました。樋口園長先生にまずは自己紹介をお願いしました。




「私はずっと保育士の仕事をしていて、モンテッソーリとシュタイナーと森の幼稚園を勉強しましたが、シュタイナーが一番しっくりきました。30年前、子安さんのシュタイナー本で注目したのですが、大阪ではシュタイナーを学ぶところがなく、15年前、環境保育ということで、モンテッソーリ教具の視察ツアーがオランダにあり参加することにしたのです。
日本人通訳の方のだんなさまがシュタイナーの先生で、オランダにてシュタイナー学校と幼稚園を見学する機会を得ました。そして、シュタイナーの保育環境に感銘を受けたのが大きかったですね。
日本に戻ってから、保育園を退職し、北海道のミカエルカレッジに入学して、シュタイナーの勉強をしました。一年目は人智学。二年目は小学校と幼稚園に分けて実習。東京「星の子」、箕面、名古屋「なないろ」、スイスのシュタイナーも視察した経験があります」





樋口先生のお話を伺いながら、私も今、ドイツ教育機関視察ツアーのプログラムを提供していて、森の幼稚園とシュタイナーとモンテッソーリの勉強をしているのですが、それぞれの教育の良さを感じながらも、森の幼稚園が一番しっくりくるなあと思っているので、しっくりくるものを一番強く勉強することが大切なんだなあって思いました。




樋口先生のお話は続きます。



「シュタイナー幼稚園は、東京に多く、大阪、箕面、京田辺(学校、幼稚園)、三重、大津、名古屋にもあります。無認可で、保護者立ち上げで、民家を借りる形が多いです。



当園は最初、帝塚山の民家を借りてオープンしたのですが、半年後に我孫子にリオープンし、一年半が経ちました。助成金はありません。




園児は12人ですが、毎日10人前後が来ます。常勤は私ともう一人の合計二人です。近所の子供たちではなくて、遠方から来る園児が多いです。中には車で1時間かけて来る子供もいます」






曜日ごとにイベントが決まっています(同じ曜日に同じ事をするというのもシュタイナー教育で大切とされています)。





月曜日: 親子教室

火曜日: にじり絵

水曜日: 手仕事

木曜日: パンづくり(おやつがパン) → いろんな形のパンができる。

金曜日: お掃除の日(子供と一緒)



シュタイナー教育では、いろんな穀物をまんべんなく食べるのがバランス良いと言われています。





一日のスケジュールはこんな感じです。


8:45-9:00 登園

お部屋で自由遊び。大人は手仕事しながら見守り。

10:00過ぎ、集まり。簡単な手遊び、ゲーム。お祈り。

ライゲン(輪になって踊る)

10:30 おやつ

11:00まで 公園、大和川の土手。

帰ってきて人形劇。

12:30 お弁当。

13:30-15:30 降園






保育室を見させて頂きました。






畳のあるお部屋に、棚が置かれ、木製や布製の遊べるものや、木の実等の自然素材がありました。




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たくさんのヴァルドルフ人形や動物たちがいました。



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季節のテーブルもありました。



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子供たちが手仕事の時間に作った作品が飾られていました。




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シュタイナーでは、一人ひとりの誕生日が大切です。なぜなら、子供は親を選んで生まれてくるからなのです。樋口園長先生は、お父さんとお母さんの気持ちを誕生日っ子に伝えることを心がけていらっしゃるそうです。




0歳から7歳までは、体を作るのが大切なので、音や静けさなど環境がとっても重要。





樋口園長先生は、以前の保育園では園児に声を荒げて接していたのが、今は静かに話しても大丈夫になったそうです。それはきっとシュタイナー教育の賜物なのでしょうね。



シュタイナーの色彩論では、色は闇と光が交差するところにできるというところからきていて、
赤は感情的になり、緑は落ち着くなど、色により人間の心にもたらす効果は違ってきます。





私がシュタイナー学校で、美しい黒板絵を見たことをお話すると、樋口園長先生は「黒板絵は、白と黒が逆転するので難しいのです。そして、シュタイナーの先生はマルチでなければなりません。なぜなら、絵も描けて、歌も歌えて、保育も出来ないといけないのですから」とおっしゃられました。





本当にそうだなあ・・・って思ってしまいました。




私は樋口園長先生に4つの気質について尋ねてみました。つまり、子供の気質に注意しながら保育をなさっているかどうかです。





先生は、「同じ気質に合わせて対応しています。気質は対人関係にも役立つのですよ」と、アドバイスをくださいました。




また、「ドイツの場合、シュタイナー学校の卒業生は、アビトウア(大学入学資格)を取得するための勉強を1年から2年して、大学に行くことになるのですが、日本ではどうなのですか?」と尋ねたところ、「日本のシュタイナー学校の卒業生は、高校卒業資格を取って大学に行きます」と言われ、ドイツと似ているなあと思いました。



樋口園長先生いわく、シュタイナー教育ではテストがないのは自然なことで、担任をしていたら、テストしなくても子供のことをわかっていなければならないそうです。




思わず、「なるほど・・・」とうなずいてしまいました。




別の保育室も見させて頂きました。



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お祈りするためのキンダーハープとグロッケンがあります。美しい音色の鐘もありました(こちらはシュタイナー特有のものではなくて、樋口園長先生が旅先で購入されたものです。瞑想のときに使う鐘らしく、本当に心地よい音色でした)





お雛様のヴァルドルフ人形もありました。とってもステキです♪





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人形劇のお人形たちです。先生や年長さんが使ってもいいそうです。




樋口園著運先生から、「幼保一元化」を説明して頂きました。




「 日本は不況なので、働くお母さんが多くなっています。待機児童が多いため、幼稚園が保育園になるという発想で、つまり、幼稚園にてゼロ歳児から預かるという意味になります。2年後にスタートして、10年かけて確立させるそうです。幼保一元化を実行した幼稚園は助成金の対象になります」




幼稚園が保育園になる・・・ということが理論ではわかりましたが、実際にはどのようになっていくのか私には想像がつきません。例えば、森の幼稚園インターンシッププログラムで実習を終えられた保育士さんが、幼保一元化を実行している幼稚園にて働きやすいようになるのであればいいのになあ・・・って思ったりもしています。




最後に、樋口園長先生の作品を掲載したいと思います。とっても素敵な春の精ですよね~。



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そして、先生から教わったことのまとめです。


シュタイナー教育とは、「心の教育」です。心の教育には、「意思」、「感情」、「思考」が育たなければなりません。「意思」と「感情」と「思考」が育つ時期があるのです。正しい時期に正しい部分を育てるのが大切なのです。


「意思」は、0歳から7歳までで、強制的にあーせいこーせいと言ってはいけません。「感情」は、7歳から14歳までで、音楽・絵画・彫刻等、芸術活動を重視しなければなりません。「思考」は、14歳から21歳までで、理論だてて考えるようになり、思春期のため先生に批判的にならなければなりません。


シュタイナーが考える「自由の哲学」とは、「意思」・「感情」・「思考」をバランスよく育てることであり、バランスよく育つと自由な人間になれるのです。



今回、樋口園長先生にお会いして、シュタイナー教育のお話も伺えて、本当に勉強になりました。ありがとうございました。
by midorimartin | 2011-03-05 16:17 | シュタイナー教育