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大阪の森の幼稚園「森のようちえん どんぐり」を訪れて

2月22日(火)、大阪の森の幼稚園「森のようちえん どんぐり」を訪れました。




この森の幼稚園は「NPO法人 子育てネットワーク共育の森どんぐり」の3つの事業のうちの1つで、「保育事業」にあたります。同ネットワークでは、他に「子育て支援事業」や「野外自然体験事業」もされていて、「森のようちえん どんぐり」は、「共育の森どんぐり」の中核事業になるそうです。




資料によりますと・・・


● 1968年 「西住之江幼稚園」を設立。「どんぐりさん」として親しまれる。


● 2005年 市民・企業・行政と連携した、より広範囲の子育て支援事業展開のためNPO法人化。
 
  「地域子育て支援事業」 たんぽっぽ図書館 開設。
  「野外自然体験事業」 土曜あそび塾 オープン。


● 2007年 西住之江幼稚園が目指してきた、
 「自然と関わり、個々のペースでゆっくりと成長していける保育環境づくり」
 をより深く掘り下げ実現するために園舎を廃し、「森のようちえん どんぐり」へと移行。

 

リンクはこちらです。http://donguri.main.jp/index.html






一年半ぶりの帰郷、そして、地元の森の幼稚園が見られるという興奮。5時半に起きて、6時代のバスに乗り阪急茨木駅へ。その後、梅田駅まで出て、御堂筋線でなんば駅まで。それから、南海高野線の難波駅から我孫子前駅に移動しました。




集合時間は我孫子前駅に8時45分だったのですが、8時半少し前に到着してしまいました。でも、早め早めの移動にしてよかったです。といいますのは、お恥ずかしながら、南海高野線に乗ったのが初めてで、難波駅に着いてからホーム探しに迷ったからなのです。




我孫子前駅の改札口付近で待っていると、先生らしき人と子供たちとお母さん達が駅前に集まっています。





じ~っと観察していたら、園長先生らしき人が私を見て挨拶してくれました! 





集合時間に間に合ったことにほっとして、改札を出て私もご挨拶。なんと、和田園長先生は私の叔母に見た目も話し方もそっくりだったので、一気に親近感が沸いてしまいました!!





遠足に行くのかと思ったら、毎日電車やバスに乗って里山に行かれるとのこと。ユニークな保育形態にまずはびっくり。





たいていの子供たちはこの我孫子前駅で待ち合わせをして、和田園長先生とM先生が子供たちを連れて電車で北野田駅に移動します。北野田駅までの道中で、二人ほど子供たちが乗り込んできます。





電車のドア越しに登園なのでとってもユニーク♪




現在の園児数は16名で、先生は五人体制。そのうち、常勤は和田園長先生とM先生のお二人で、あとの三人はワークシェア。




月、火、木は三人体制で、水曜日は長居公園が保育フィールドなので二人。
金曜日は2歳児教室のレンゲ組も一緒のため、親子18組が追加され、5人体制になるそうです。





我孫子前駅の改札を抜けてホームで電車を待っている間、子供たちはベンチに座っておとなしく、電車の中でも折り紙をしたりして大騒ぎする子供は一人もいませんでした。





私は娘のドイツの小学校でイベントがあるときは、よくクラスの付き添いをするのですが、電車やバスでの移動時は、男の子がとっても騒がしいので怒ってばかりです。国民性の違いもあるかもしれませんが、きっと教育の賜物なんだと思います。




和田園長先生のお話では、最初スケッチブックを持っていったりしていたそうで、試行錯誤の末、折り紙に辿り着いたとのこと。あるテレビ番組で、ボケ防止のために、角を気にしない折り紙の方法が紹介されていて、そこからヒントを得られたそうです。







和田園長先生はおっしゃいます。





「電車で毎日里山に行く森の幼稚園は国内では他にないかもしれません。最近の子供たちは車での生活があたり前になってきているので、入園して初めて電車に乗る子供もいます。1学期はまずは電車での公共マナーを教えるところから始まります。2学期になるとずいぶん電車で行くことに慣れてきて、3学期は落ち着いて里山に行くことができます」





幼稚園で交通の公共マナーを実体験として学ぶ・・・。私はとっても大切なことだと実感しました。






つまり、電車の中は、家の中とは違う。家の中と家の外の世界が存在して、マナーが違うということが理解できれば、自然とモラルに対する意識も芽生えてくるのではないかと思うからです。






私たち家族は「ノーカーライフ」を実践しています。ミュンヘン市に住んでいると、車がなくても十分快適に生活できるからです(実は私も夫も自動車免許を持っていません)。






そのため、娘は赤ちゃんのときから、電車やバスに乗るスタイルに慣れていて、物心ついてきてからは、「電車やバスの中は家の中ではないからね。公共のルールを守ろうね」とモラルについてよく話してきました。





モラルのない大人を見ると、そんな社会のルールを子供時代に学んでこなかったのではないかと思ってしまいます。つまり、そんな大人を作りだした彼らの親たちの責任です。




話が脱線してしまいましたが、北野田駅に到着。地階に降りて出発しようとすると、一人の女の子が「あ~、虹がある」と地面に三角形を描いた虹を見つけました。




私も一緒に観察していたのですが、森の幼稚園の子供たちはやっぱり感性豊かです♪






私が来るということで、「堺市自然ふれあいの森」のレンジャーの方お二人がわざわざ来られていたので、とっても嬉しく思いました。彼らは、「共育の森どんぐり」の野外自然体験事業である「土曜あそび塾」にて、幼児から小学生を対象に、野外自然体験活動を中心とした様々な体験プログラムを行っています。





「堺市自然ふれあいの森」とは、資料によりますと、「市民協働による森づくり:堺市の南部丘陵エリアにある「里山の保全」を目標にした17.2haの里山公園。人と里山との新しい関わり方を考える場づくりを「森の学校」をテーマに市民ボランティアとともに取り組んでいます」となっています。



リンクはこちらです。http://www.sakai-fureainomori.jp/




北野田駅から目的地の狭山のボーイスカウトキャンプ場までは、バスで行くルートと徒歩で行くルートがあるそうで、バスで行く方法も何通りかあるらしいです。




今回はお天気も良かったですし、きっと私への配慮から、徒歩で行くルートになりました~。






住宅地を歩いて行きます。生活道路に面しているので、車に注意しながら行かないといけません。






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先頭グループは車が来るのがわかると、「車が来るよ~」と声かけしながら進んでいきます。






車が来ると、道の端による・・・。これも公共のルール、社会のルールですよね。ちゃんと気をつければ全然危険ではないのです。






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田んぼのあぜ道を通ります。あぜ道を通るなんて、何十年ぶりでしょうか? 子供時代が蘇ってきます・・・。




オオイヌノフグリ等を見つけて、女の子は花束を作っていました。かわいい~♪




住宅地をまた通ります。すると、「キリ、キリ」という声で鳴くハトよりやや大きい鳥が現れました。和田園長先生は、「田んぼの中にいる鳥だよ~。キリ、キリと鳴くから、キリっていう名前なんだよ~」と説明されます。





お恥ずかしながら、私はこの鳥をずっと「カモメ」だと思っていたので、42歳の大人になって鳥の本当の名前がわかり大笑いしてしまいました。





私が子供時代を過ごした場所は、田んぼがあり、用水路があり、近くに淀川が流れていたので、土手があり、その土手には牛が草を食べに毎日散歩に来てました。





用水路にはザリガニ、タニシ、カエル、フナ等、いっぱいいろんな生物がいて、自然観察には本当に事欠かない場所でした。





そんな記憶がどんぐりの子供たちと一緒に歩いているときにどんどん蘇ってきて、私も子供時代に戻ったような気分でした。





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和田園長先生が、「あそこが目的地ですよ」と指差します。前方に目指す里山が近づいてきました。わくわく感いっぱいです。






一人の子供が、「あっ、テントウムシがおる~!」と叫びました。すると、みんながどれどれと言って、道端に横になりました。あんまりかわいくて思わず写真を撮ってしまいました。



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大人にとっては、普通の道が、子供たちにとっては宝の山が見つかる魔法の道なのです。





和田園長先生はおっしゃいます。「道中、いろんな人に出逢えるので、子供達は挨拶も学べるのですよ。さっきも工事現場のおじさんたちに、おはよう~って挨拶してましたよね」







確かにそのとおり。駅から徒歩で里山に向かう間に、公共のルールだけでなくて、社会のルールも学べるのです!






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目的地の狭山のボーイスカウトキャンプ場に着きました。先生から、「1時間歩いたのですよ」と言われてびっくり。そんなにも歩いていただなんて、まったく距離を感じませんでした。






今回の視察アポの際に、すっごくお世話になった卒園生のお父さんで現在「森のようちえん どんぐり」のスタッフをされているYさんにお会いしました(Yさん、その節はいろいろありがとうございました!)。




里山に着いて、まずは自由遊びです。和田園長先生が里山の敷地内を案内してくれました。自然の数珠玉を見つけました~。



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数珠の実はこんな感じです。



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誰も何も手入れしていないのに植物は育っていて、自然の豊かさと強さを感じました!





畑もあって、竹林もあります。子供たちが大好きな竹林を登ってみました。竹に手をかけて登るのですが童心に戻ったようで楽しかったです♪



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10時半ごろおやつの時間になりました。ドイツの森の幼稚園にも10時から10時半にかけて、「Brotzeit」と呼ばれる2回目の朝食をしますので、まったく同じスタイルに感動です。





おやつの後は、本読みの時間です。まずは、年長さんによる読み聞かせです。上手なのでびっくりしました。(1学期はおやつなし、すぐに本読みということもあるそうです)



その次は、先生の読み聞かせの番です。語りがとってもお上手なので、私もお話の中にぐいぐい引き込まれてしまいました。



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また、自由遊びです。和田園長先生に、森の幼稚園を始められたきっかけについて尋ねてみました。





「最初から森の幼稚園を目指していたわけではありません。15年前にあるきっかけがあったからなのです。東京から引っ越してきた園児がいて、その子の自然に対する眼差しや振る舞いに違いがあることに気がついたので聞いてみたところ、東京の森の幼稚園に通っていたことがわかりました。それから、すぐにその東京の森の幼稚園を視察することにしてみました。大型公園に子供が60名ほどいて、先生も6名くらいいて、公園を移動しながら園児が自然の中で遊ぶ姿に感動しました」






ご自身も自然の中で育ったご経験をお持ちで、自然に対する思いが強くおありだったとのこと。前身の西住之江幼稚園でも、「一本苗木を持ってきてください」とお願いして、自然色が強い保育方法を実践されてきたそうです。私も自然の中で育ったので、和田園長先生がおっしゃる言葉一つひとつに共感できました!





自由遊びの後は、お昼ご飯です。一緒に食べたい子同士グループになって食事しています。おにぎりやおかずもすべて工夫されていて、お母さん達の涙ぐましい努力が伝わってきました。




自由遊びは、季節や天候によって、子供たちの遊び方が変わってくるそうです。森のようちえんどんぐりでは、見守り保育を徹底されています。





見守り保育とは、「子供に寄り添うこと」。年少と年中は一人遊びしながら周りを見ていて、年長は集団遊びをしたくなる。1学期手伝っていたことを、2学期からは徐々に手伝わないようにするなど、年齢に合わせることもさることながら、一人ひとりの子供に対しても適切な見守り保育をされている姿にまたまた感動してしまいました。




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終わりの会の集合は、13時少し前にあり、北野田駅まで移動します。今回はバスに乗りました。




電車に乗って我孫子前駅で下車し降園です。途中の駅で降りた子供二人は電車のドア越しに降園でした。




我孫子前駅に着いた後、先生方は近くの喫茶店で毎日反省会と次の日の準備をされるらしく、私も仲間に入れてもらいました。





1時間ほどの座談会だったのですが、先生方から、下記のような、たっくさんのご質問を受けて本当に有意義な一日になりました(和田園長先生、ご馳走になりましてありがとうございました!)。



素朴な疑問ばかりだったのですが、答えられるものもあれば、答えに困った質問もあり、来週、再来週と予定しているミュンヘンの森の幼稚園の視察ツアーにて尋ねる機会があればいいのになあと思っています。




今回の「森のようちえん どんぐり」との出会いは、前日の長野の「こどもの森幼稚園」で得た情報や体験と同じくらい貴重なものでした。




私ってなんてハッピーな人間なんだろうかってつくづく思っています!




人との出会いに勝るものはないですよね~。 そして、帰郷した際には、また「森のようちえん どんぐり」の皆さまにお会いできればいいのになあって思っています。
by midorimartin | 2011-03-04 18:22 | 日本の森の幼稚園