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【モシュ森ツナギストだより】 Vol 4「ルールの必要性」

私の本業はドイツのIT企業に勤める会社員で、私はアプリ検証チームの課長代理を担っている。




大学生バイトが2名いて、彼らにいくつかの注意事項(ルール)を伝えると全部覚えていないことがよくある。再確認のため何度も復唱しなければならない。





つまり、大人でもルールをたくさん設定すると覚えきれないというわけだ。




果たして、子どもにとってルールは必要なのだろうか。




子どもが必要だろうと思うルールを大人が取り決める。




簡単に言えば、先生である大人が保育しやすいようにルールを設定するというわけだ。




ある森のようちえんはモンテッソーリ色が強く整った保育環境づくりを徹底している。




登園→自由保育→朝の会→森への移動→自由保育および設定保育→ようちえんに移動→自由保育→昼食→自由保育→終わりの会→降園




という保育の流れの中でいくつも決まりごとががある。これらのルールを子どもたちがしっかり守ってるからすごい。




完璧に美しく整備された保育環境である。





別の森のようちえんは最小限のルールを設定している。基本的に園庭が保育環境の場であり移動が少なく自然との一体感が強い。




言葉を必要とせず心がしばられないゆったりとした保育環境。




先生である大人と園児である子どもまたは子ども同士が楽しく過ごすための最低限の約束ごとが存在するだけだ。





この2つの園はまったく対照的であり観察していると非常に興味深い。




幼児保育においてルールはいくつ必要なのか。今後も研究していきたいテーマの一つである。




# by midorimartin | 2016-10-02 18:33 | コラム

10月に森のようちえん実習生第10期生が誕生します

2012年末に終えた森のようちえんインターンシップ事業ですが、今年出逢いがありまして、10月に新たに森のようちえん実習生が誕生します。出逢いについての詳細はこちら→ポーイング森のようちえんから実習生探しの問い合わせを受けました





明日はドイツ統一記念日で祝日なので実習開始日は10月4日です。





2ヶ月のインターンシップなので、11月30日に私は実習最終日に同行予定です。





今からとても楽しみです。そして、お客様にはインターンシップを思いっきり楽しんで頂ければと思います。




# by midorimartin | 2016-10-02 18:15 | ドイツの森の幼稚園

【モシュ森ツナギストだより】 Vol 3「自由の定義」

2010年にシュタイナー教育に初めて触れた場所がシュタイナー学校。




教育畑出身でない私にとって、見るもの聴くもの初めてづくしで、五感が解放されっぱなしの視察時間だったことを今でも思い出す。





エポック授業、オイリュトミー、匠の域までいきそうな工芸レッスン、そして、中でも注目したのは園芸の時間だった。





その時間で私が学んだことは「自由とはなんだろうか。自由に決断をするとはどういうことなのだろうか」




「欲求が動機づけで直感的に決断することは自由な決断とは言えない。概念がないことは、知覚ではない。自覚や意識を発達させよう。自覚や意識は自由の中にある」と、言葉をたくさん並べていく園芸授業の先生。




「感情を五感のように発展させることにより、知覚したことが動機となって行動できたとき、私たちは自由な決断をしたことになる」と先生の説明。




知覚が動機づけとは、いったいどういうことなのだろうか。深いテーマである。




それ以来、私は森のようちえん・モンテッソーリ幼稚園・シュタイナー幼稚園を視察するたびに、「自由の定義」を考えるようなった。



2010年から2016年の6年間の間で得た私なりの見解はこうだ。





・ シュタイナー教育 → 用意された環境 → 決定の自由性




・ モンテッソーリ教育 → 用意された環境 → 選択の自由性




・ 森のようちえん → 用意されていない環境 → 想像の自由性





「決定の自由性」とは、欲求に依存せずに決定する能力。




「選択の自由性」とは、個々の好みにぶれずに選択できる能力。




「想像の自由性」とは、何もない状態(自然)の中から何かを生み出す想像の能力。




それぞれの教育はユニークですべてが「精神の自由性」につながってると思う。非常に興味深い。




# by midorimartin | 2016-09-18 16:54 | コラム

ポーイング森のようちえんから実習生探しの問い合わせを受けました

今年の7月に訪問したポーイング森のようちえんから、8月半ばに「実習生を探しているのですがどなたかご存知ないですか」という問い合わせを受けました。




FÖJ (Freiwilliges ökologisches Jahr)やBufdi(Bundesfreiwilligendienst)に協力を要請したが10月以降の実習生がまったく見つからないとのこと。





8月前半にワーホリで来られている日本人男性のお客様から問い合わせを受けていたので彼を実習生候補ということでポーイング森のようちえんにお連れしました。





ポーイング森のようちえんから実習生探しの問い合わせを受けました_f0037258_5191652.jpg







園長先生が優しい笑顔で迎えてくださいました。夏休み明けの最初の週でしたので園児は9名。そのうち新入園児が2名。先生はなんとお一人でした。他の先生や実習生は病休だとか。





9時になり朝の会が始まりましたが、慣らし保育期間中の3歳児とママが2名ずついるので、朝の会の歌と子供の人数と曜日の勉強と私たちの軽い紹介で終了しました。




その後は豚のソファで朝ごはんの時間。男の子二人が男の園長先生にくっついて座っています。なんとも微笑ましかったです。




9時40分くらいに朝ごはんの時間が終了し、その後は12時少し前の終わりの会まで自由遊びの時間。





男の子同士、女の子同士、男の子と女の子が混じったり、一人で遊ぶ子供がいたりして、とても興味深かったです。




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手先が器用でアーティストタイプの5歳の女の子が一人で遊んでいたり、3歳の男の子がみんなの側にいるのに一緒に遊べない状態が多く見受けられたので、先生に一人でいる園児にどのように接しているのか尋ねたところなるほどなあと思う答えが返ってきました。





「5歳の女の子はきっと一人で何かに集中することで自分を落ち着かせているのだと思う。子供たちは園で体験したことを家に返ってから一人でパズル遊びをしたりして気持ちを落ち着かせる行動をする。その「心が落ち着くモード」が彼女の場合、ようちえんでも必要ということなんでしょう。



3歳の男の子はまだみんなと遊べる年齢ではありません。私がみんなに彼と遊びなさいと言うことはできるけど、そんなことをしたら彼がみんなと遊ぶための関係性を築く学びができなくなります。そのため、見守っています」





私が「大人と同じですね」と言うと、園長先生は続けます。「そうです。大人が仕事から帰ってきて、心が落ち着くモードを経て心のバランスが取れるように、子供たちもそのような時間が必要なのです」





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森のある場所がキッチンになっているのを見ました。先生に「あそこはキッチンなのですね」と伝えると、彼は「今日はキッチンですが、明日は馬小屋になったり、お城になったり、様変わりします。子供たちのイメージで自然素材がいろんなものに変化するのです。ハウス型のようちえんだと、キッチンはキッチンでしかありえないけど、自然の中だと子どもの感覚を通していろいろ変わる。それが自然保育の醍醐味です」






なるほどなあとうなずけるものばかりでした。





私が自然トイレ休憩をしている間に、実習生候補の方はティッピにいた女の子たちと交流をしています。



その前も積極的に子供たちにドイツ語で話しかけていたので私は感心しました。




12時少し前になり、終わりの会が始まりました。絵本を2冊先生が読み聞かせしてくれました。3歳児の子どもたちも一緒にみんなで真剣に聞いています。集中力がすごいです。





半日の視察を終え感じたことは、自然の中でゆるやかにゆったりと流れる時間はなにものにも変えられないということ。




来週以降に実習決定の有無のお返事が届きます。どうかうまくいきますように。
# by midorimartin | 2016-09-03 05:40 | ドイツの森の幼稚園

【視察3日目】ポーイング森のようちえん

視察3日目はポーイング森のようちえん。1日目と2日目が雨模様だったので、最終日が晴れとなり本当に良かったです。



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トウモロコシ畑を抜けると、ポーイング森のようちえんが見えてきました。



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先週、夏祭りがあったとかで、そのときのオブジェがたくさん残っています。テーマは「ハチとハチミツ」。




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石に色を塗って作られたテントウムシとハチもいました。なんとも愛らしい。


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バウバーゲンの中にもハチの絵もありました。


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私が一緒に作ったティッピは健在です。


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もうあと数日で夏休みに入るのですが、20名いるうち18名が出席でした。




今週は森のオリンピック週間で、森の妖精からの手紙を子どもたちは探しています。




木の枝にありました。手紙は箱にくっついていたので、その箱を木の枝を使って落とします。




9時になり朝の会が始まりました。この森の幼稚園では、子ども一人が始まりの歌のワンフレーズを歌い、残りのメンバーで続きを歌います。




出席している園児の人数、お休みしている園児の人数と名前、今日の曜日と月を学びます。



先生が森の妖精からのお手紙を読み上げます。今日の種目は「じゃがいも袋競争」です。





朝の会が終わり、みんなで朝ごはんを食べることになりました。




フルーツの残りは隣接している野生動物園のブタさんにあげても良いそうです。




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かわいらしい顔が描かれている木を発見。


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男の子が長い葉っぱ数本を何重にも巻いて作品を作っています。誰も教えていないのに作り始めたそうで、クリエイターぶりに脱帽です。




大嵐のときに壊れたティッピが修復されていました。



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女の子たちは自然素材を使った人形を先生と一緒に作っていました。とっても素敵です。



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森のオリンピックはうさぎ組ときつね組に分かれてのチーム対抗戦で、途中から一周遅れになっていたのが最後は接戦になり非常に見応えがありました。




子どもたちの歓声も素朴で自分に満足している園児たちの姿がとても印象的でした。




2時間という自由遊びの時間、ボードゲームをやっている子どもたち、砂遊びをしている子どもたち、サッカーをしている子どもたち、木の枝の皮をけずっている子どもたち等のワークグループが自然発生していて、心と身体のバランスが取れている様子がとても素晴らしいと思いました。





それはきっと園長先生が落ち着いているから。園長先生のカラーがようちえんを形成しているのだとつくづく実感。




12時になり終わりの会が始まりました。「石さん、石さん、飛び跳ねる。どこまで飛び跳ねる」というフレーズの歌を歌いながら石を隠す遊びをしました。一人ひとりが両手を丸めて重ねます。その中に石を隠すというもの。石を隠した人から当てられた子どもが石を持っている人を当てなければなりません。3回まで予想を言うことができます。答えを当てた人は次に石を隠す役ができるのです。



最後にお別れの歌をみんなで歌いおわりの会が終了しました。




自然の中でゆったりと流れる優しい時間にお客様も私も心地良さを感じました。




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# by midorimartin | 2016-07-28 05:45 | ドイツの森の幼稚園